わたって 優れた馬を

「我が領地斗平野では、 長年にわたって 優れた馬を産出してまいりました」
 石動原多万記は、 東宮の御前に居た。

「馬?  いきなり馬なのか? 
 余も そこそこに忙しい。
 判じ物のような文の解読に、 かなり手間取った。
 ややこしい事には、 これ以上関わりたくない」
 多万記は、 こんな事では引き下がらないbikini脫毛
 前回は葦若の名前と地位を利用したが、 今回、 それは使えない。
 しつこく願い出て、 やっと叶った面会である。
 地元では名士でも、 中央では官位が無く、
 はかばかしい伝手も無い身では、 糸のように細いつながりにすがるしかないのだ。

 美穂積皇子には、 なんとか会えるようになりつつあったが、
 他に気になる事でもあるのか、 いっこうに馬に興味を示してもらえず、
 なかなか話が進まない。
「馬は 草を食(は)んで育ちます。
 本来、 繊細で臆病なところのある生き物なのでございます無針埋線
 それを、 種を選び、 工夫を凝らして育てることで、
 気性の強い斗平野馬を産出しております。
 熱密の馬は、 見たところ、 たいそうおとなしい皮秒 去斑
 体は大きくても、 いざ戦(いくさ)となった時、 逃げまどうようでは良い軍馬とは言えますまい。
 不肖(ふしょう)の甥が 何を企んでいるものやら、
 国を危うくする愚かしい行為に励んでいるとしか思えません。
 今からでも、 どうか、 東宮殿下のお力で 取引を中止するよう、 お計らいください」